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宿無の翁|note

二度目は私が殺さなければ

五時ごろ目が覚める。前頭部左に疼痛。薬を飲んでおこうと思いながら、飲まずに布団をかぶってしまう。九時ごろ起きる。案の定ひどい頭痛と吐き気。今日は嵐になると思う。このあいだ雨傘を出張先に忘れてきた。日傘はどこかの飲み屋でなくした。だから傘が…

新年の手紙

二〇一七 血の沸騰するほど温めた体を水風呂に沈めると、喉の入り口あたりが冷たくなるような感覚がありませんでしょうか?これが何んだか新年に似つかわしいように思って、真新しい外套を羽織って風呂へ入りに出かけることにしたのです。新年口開けの銭湯は…

他人のベッドで目覚める朝

「まさこちゃん」の家のベッドの脇にかかっていたカレンダーをよく覚えている。それには彼女の勤める会社の名前と、意味もなく美しい風景が載っていた。そしていつも数ヶ月前で止まっており、時折指摘するとまさこちゃんは毎回アラホントウと言ってまとめて…

パン屋激戦区目黒区で食べログ評価3.7以上のパン屋に囲まれて生活する飽食現代の権化こと私が好きなパン屋教えます

「サンドイッチ屋」は含みません。「パン屋」のみです。 おしゃれ幻魔大戦目黒区 「おしゃれ大戦」「せんせーんふこーぉく!」って聞いて何かを思い出してくれる人とぼくは友達。 大岡山「イトキト」 惣菜パン業界の現人神。良コスパ。ここのフルーツサンド…

新年の手紙

二〇一六 それでね、今年もやっぱり喪中なのですよ。これでもう二親等は残っておりませんで、あとは父と私っきりなのです。つぎに喪中になるのは私か父が死ぬ時です。ピストルを提げたカウボーイ二人が、背を向け合ってだだっ広い荒野に立ち、スリー、ツー、…

私の宗教について

人に嫌われたと思う時に私を支えているのは「でもあいつより私のほうが私のことを嫌いである」という考えだ。 人が恐れるのは「わからないこと」であり、であるからして宗教が生まれたのである。宗教の役割は説明することにある。だからヤハウェ(ヱホバ)の…

はいしゃさんおこらないでvol.1「歯垢の多い生涯を送って来ました。」

恥の多い生涯を送って来ました。 自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。*1 私の生活は対症療法 人間失格の手記の主が「人間の生活ってなんだかわかんねー」と言っているのは、彼が狼少女だからではなく実利が理解できないからだ。布団で寝…

にじゅうごさいになりました

今週のお題「私のテーマソング」 列についてゆけない者に また来る春が あるかどうかは誰も知らない ただひたすらの風任せ 十月生まれの私が世に蔓延する夥しいの歌どもの中で最もシンパシーを感じる歌が、井上陽水「神無月にかこまれて」です。 もう、それ…

中国人のS藤が金魚にえさをあげて学校に来なくなったこと

もっと思い出の話とか書いてって言われたので思い出の話をします。 小学校のクラスメートにS藤というのがいた。彼は中国人だった。今にして思えば円を描いた顔の輪郭や色の白さはあきらかに大陸のそれであり、表情にも中国人らしいものがあったような気がす…

えにっき10/6

きょう歌舞伎町で見たけんかの詳細です。 タトゥーのヤンチャっぽいにーちゃんがギャルにビンタし、突っ立っているおじさん二人に喚きながら殴りかかろうとしていました。 ギャル、顔真っ赤にして泣いててかわいかったです。※「うち」というのは一人称のウチ…

昔の犬はでかい

平日の昼日中、上野公園へ向かう日比谷線の中で、自分がもう未来に生きていることにはたと気付いた。 上野の博物館に忠犬ハチ公の剥製がある。ハチ公はでかい。昔の犬はでかいのである。私が小さい頃はまだ横浜にも野良犬がいて、やはりでかかった。私は高級…

ラブライブの映画がものすごくつまらなくて私の青春は終わったと思った

私は舞台芸術におけるあの「腹から声を出している感じ」がどうも受け入れられない。だから演劇に苦手意識がある。 私が実際に見たことのある演劇は二つだけで、三谷幸喜の「桜の園」とケラリーノ・サンドロヴィッチの「三人姉妹」だ(要するにチェーホフが大…

TVタックルひろゆき出演に思う/匿名性こそがいじめられっこの救済だった

日本において世界は一つになりつつある。 すべての発言はいずれ本名に紐付けられ、虚空に言葉を投げかけて木霊を聞くような旧いインターネット、あのすばらしくも混沌としたなつかしい未来はなくなってしまう。 世界は一つになっていくしかないことに気づい…

「惜しみなく愛は奪う」ってどこのエロゲーだっけ

と思ったら有島武郎だった。 というわけで有島武郎によるエロゲメーカーがあったらという妄想を書きます。『惜しみなく愛は奪う』 ・メーカーの出世作。代表有島武郎が同タイトルのプロトタイプを夏コミで出していたのがメーカー立ち上げのきっかけ。 ・30…

新年の手紙

二〇一二 この間外祖母がおっ死んだので、それこそクリスマスに四十九日をやったくらいなので新年のあいさつは控えさせていただきます。正月の嫌いな私にはこの喪中というのがよい隠れ蓑で、ずいぶん久しぶりに正月を楽しむことができました。最近はデパート…

教室の原理

友だちいないのもいい加減にしろよって感じだが私は国会中継が好きだった。 耳打ち、ニヤニヤ笑い、太平洋の波うち際みたようなさんざめき、内容のない野次、そしてそれらを黙殺せんとする回答者。あれは、学校の教室と同じだったのではあるまいか。 過去形…

ねむりのこと

夢の中で、これは夢だと疑っていることのあわれさ。苦しさ。 夢の話はつまらないというが私は夢の話が好きだ。本人だけがつらくて面白くて話しているその気持ちがうつくしいと思う。子守唄に「起きて泣く子のつらにくさ」という言葉があって、これは母親では…

忘却が作り出す匂い

久しぶりに実家に帰ったら完全に年寄りの家の匂いになっていた。あるいはもとからある程度年寄りの家の匂いだったのに住んでいる間は気づかなかっただけかもしれないが、それにしてもあんまりだと思うほど年寄りの家の匂いがしていた。年寄りの家の匂いを君…

FJSBのKKDについて

私は飲食店を探すのも好きだし料理も得手なのでそこそこいいもん食ってると思うが、冨士そばのカレーかつ丼は至高である。最高と至高の戦いとかどうでもいい。冨士そばのカレーかつ丼の一人勝ちだ。美味しんぼの最終回は雄山を冨士そばに連れて行って終了だ…

約束をしたはずなのにあのこたち私を抜きで遊んでる夏

感じやすい子どもの体躯で息をするまだ暫くはそれを堪えてる 吠えたくる夜中の犬はかなしくて昼間の犬はねむってゐる様 赤チンにオキシドールに絆創膏それだけ入れた抽斗のにおい 夏が嫌い日射しが日々を殺してて遠くとおくで何かのお祝い 約束をしたはずな…

ケーキ型の活用法と東急ハンズ礼賛

酔っぱらった勢いで日曜の昼日中という最低のタイミングで築地に行ったらちょうどよく豪雨に見舞われ、早く店を閉めたいおっちゃんから、酔っぱらった勢いでマグロの中落ちと鮭の切り身、あわせて1、2kg買い込んだ。帰りにまな板も買った。ハンズで三千…

コンクリートジャングル東京のどこに木のまな板は売っているのか

まあ私も上京3ヶ月とはいえ神奈川出身なので、たいていのことはロフトか東急ハンズかニトリに行けば解決することは知っているのだが、しかし、まな板が割れたのだ。 100円均一で買った(少なくとも自称は)桐のまな板は、割れていなかった時は薄いながら…

この夏はクーラーを使おうと思う

私は夏場あまり冷房を使わない。ほとんど扇風機で何とかしてきた。大体夏は暑いし冬は寒いのが当然で、それはそういうものだから別にいいのだ。とは言いながらも私も弱冷房車には乗らないし暑い暑いと文句を言うのだが、少なくとも私の家において扇風機は重…

コンタクトレンズが乾いてひっついて取れなくて、悲しいことを思い出そうとする

映画は消費財だから好きでない。 私が最新の映画を見ない理由はこの一文で言い尽くすことができる。作品としての質を論じたいのではない。最近の映画はろくでもねえなとかいいたいわけではない。ただそれは、泣く(あるいは感情を動かす)というスポーツとし…

死ぬという動作も、生きているうちのひとつ

ごく近しい友人が、こんど死ぬことになった。 その報告を私は明け方に電話で受けた。夜明けの住宅街は薄グレーのぼんやりした光りを投げかけている。始発前に終わったバイトの帰りで、家の近くでタクシーを降りたところだった。声が筒抜けの木造アパートで明…

ないものねだりの物語...「かぐや姫の物語」「レベッカ」

角川シネマ有楽町 2014.3.13 高畑勲 「かぐや姫の物語」 午前0時の映画祭 http://0eiga.com/ 2014.3.22 アルフレッド・ヒッチコック 「レベッカ」 最近、楢山節考を再読した。 楢山節考は姥捨て山の話だ。しきたりに従って真冬の楢山に捨てられることになる…

コーヒーなんて飲めなくていい

おっさんのドブみたいな口臭ってコーヒーとタバコでしょ。だから、コーヒーなんて飲めなくていい。コーヒーなんてドブだ。ドトールの泥水をすするのだ。みんな味なんかわかんないで飲んでるに決まってるし、コーヒーのよさっていうのは、「ドブってはまって…

突然大島渚祭 1.戦場のメリークリスマス

ひかりTVどこでもという、お金払うといっぱいてれびがiPhoneで見られるサービスに内村さまぁ〜ずを見る為だけに登録してます。映画もいっぱいあることには薄々勘付いていたのですが映画は映画館!と思い込んでいるので見たことがなかったのです。でもお金も…

この世のどこかにあの子よりも私に似合う服があるのかな

Kitsuneというブランドの、それはそれはすばらしいニットがずっと欲しかった。 欲しくって欲しくって、伊勢丹へ行って眺めてはため息をついていた。しばらく置いてあったけれどもそのうちなくなってしまった。欲しかったなァ、欲しかったなァとずいぶんクヨ…