タルコフスキー「惑星ソラリス」

下高井戸シネマ 13.10.8
タルコフスキー惑星ソラリス

 いやー、映画みたわー!!って感じの充実感が残る映画だった。
 私は「いい映画」という言葉が好きでないのですが、そういう意味では「いい映画」ではないと思う。
 発音ソリャーrリスなんだな〜。(rは巻き舌)

 何を感想として書いていいのか難しいんだがまず映像美。きれい!最近2001年宇宙の旅も見たんだが、タルコフスキーの言う通り、あっちはセット作りにばかり酔っちゃった感じで、きれいと言えばものすごくきれいなんだが現実感に欠ける。こっちのステーションはざらざらした現実味があった。単色とカラーの切り替えもいいし、東京を使ったシーンなんかも印象的。ピントが微妙なのはわざとなんだろうか、カメラが延々動いてる感じが特徴的。あと、引きの絵がなくて一人ずつを映してばかりいるのは、絵的にも目を引くけど意味があるんだろうなあ。そしてなにしろハリーが美人すぎ。
 
 私はGoogleearthなんかをみててもすんごい怖くなってくるんだが、宇宙に対峙する怖さを感じた。これは2001年宇宙の旅には(こっちのほうが不気味なオブジェクトを配置してるんだけど)感じなかった。何がほんとかわからないし、今私が生きてるのもほんとかわからない。ソラリスの島のひとつで起きてることかもしれない。私の感情を映画と同調させようとするなら、そういう怖さがハリーの畏怖に表出しているように思った。
 それぞれにみんなとてもいいキャラクター。サルトリウス好きだな。
 SFそのものを目的にしている2001年宇宙の旅よりも、SFを手段にしているだけの(非日常を起こして道徳を問おうとしているだけの)こっちのほうがSFとしての道具立てが面白かったなあ、まあそれは原作者の功労かもしれないが。
 恥っていう言葉をロシア語でなんて言ってるのか聞き取れなかったのが残念。

 後輩の女の子と観に行ったのですが、帰りに徒歩圏内にある彼女のバイト先のパン屋さんに寄りました。理想のパン屋みたいないい人そうなご主人に食パンと「小さいとき下高井戸シネマドラえもんの映画を見た」話までいただいて帰った。これから横浜まで帰ると言ったらものすごく驚かれた。後輩はロシア文学とか読むようなタイプでもない法学部の女の子なのでなっげえソ連の映画なんかつまらないかなと思ったがわりと喜んでくれた。いい日だった。